空間工房

  • コラム

より長く住むために

 築35年ほどのお宅のリフォームやリノベーションで、手抜き工事の跡を見つけて改修することがたまにある。

 地震に強い壁になる筋交い(すじかい)が壁の中に入っていない。床フローリングの下の根太(ねだ)が細くて強度が無い。直近では、お風呂の換気扇の排気がダクトに繋がっておらず天井裏に吹き出している。など、隠れて普段は見えないところが多い。

 35年ほど前というとバブル期だ。次から次へと仕事があり、少し手抜きしても見えないところだから大丈夫。という人が少なからずいた、らしい。建築確認検査の構造強度は設計者にお任せで構造計算書を提出する義務が無く、手抜きしたい人はし放題だった、らしい。

 らしい。と言うのは、当時建築業界新人の自分は、右も左も分からず上司に言われるままあっちの現場の片付け、こっちの現場に荷物を運ぶ雑用係だった。施工途中を見ても、それが正しいのか判らなかった。ずっと後に先輩や職人さん方とのバブル期の話題で、手抜きや欠陥がその頃の建物に多かったと聞き、リフォーム工事で解体して欠陥があると、ああ、その頃に建てられたお宅だからね。と、変に納得してしまうのだ。そもそも手抜きとか欠陥住宅を建ててはいけないのだが。

 我が家は手抜きされているのでは?と、心配になるかもしれないが、昨今の住宅では建築確認や検査の厳格化、耐震や断熱性能の向上、建築途中の検査があり、手抜きを行う業者はほとんどいないはずなので安心していいと思う。

 今リフォームやリノベーションを検討している方は、万が一過去の不具合が発見されても、そこも強固にでき、そして今年4月からは構造部を改修する場合はリフォームでも確認申請が必要になり、厳格な検査もあるので、より長く快適に住める家になるのだと、プラスに捉えれば良いのではないだろうか。

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富山県中小企業ビヨンドコロナ補助金活用事業(令和4年12月20日作成)